3月30

筆跡鑑定は原則として原本がベストではありますが、コピ-を取った後に焼却や紛失又は入手が困難という場合でコピ-を使用しての鑑定・検査が多いというのが現状であります。そのような場合は鑑定する際に重要な文字画線の質的要素を捉えることができません。ですから、可能な限り原本を入手することをお薦めします。 やむを得ずコピ-で行う場合は結論が低下することもありますことをご理解願いたい。

この画像はコピ-されたものを拡大した状態です。

3月20

 しばしば文字さえあれば筆跡鑑定ができると考えられている部分があるようですので正しい鑑定結果を得るための予備知識として、次のことをご確認ください。まず、問題となっている筆跡の記載時期と筆者が明かな対照筆跡の記載時期とに大きな隔たりがなく、しかも筆記具が同種のもので書かれていることが望ましいのであります。筆跡鑑定をご依頼する場合にはこれらのことを十分に考慮することが正しい鑑定結果を得る要素となりますのでご注意してください。また告発文書や誹謗中傷・脅迫文書に書かれている文字と同一字体の文字が書かれている対照資料が用意できればベストですが、どうしてもそのような資料が用意できない時は、漢字どうしの場合では偏部又は旁部などに共通した部位があれば鑑定が可能な場合もございますのでご相談ください。 また記載された時期に大きな隔たりが見られないことも大切です。 問題の筆跡が書かれた年月と筆者が判明している対照筆跡との差は成人であれば10年以内が良好な期間と言えます。以上の条件をご確認のうえで鑑定依頼していただければ正しい結果が得られるものと確信ます。

2月28

最近の問い合わせで多いのが「身に覚えの無い領収書が問題で裁判になっているのですが、その領収書に書かれている筆跡がいつ頃書かれたものか知りたいのです」という内容や「契約書の署名」などのことも良く聞かれます。 そのようなことに関しての鑑定人からの回答は「検査できません」という内容でお答えしております。 例えば、ボ-ルペンで書かれた場合と仮定しますと、資料の保管状況などで経年変化は著しく変わり、又、ポールペンに使われているインキの成分によっても、その度合いは様々であることです。どうしてもいつ頃かを知りたい場合は筆記具のメーカやインク成分を分析する研究所などにお問い合わせいただいた方がよろしいかと思います。鑑定人自身も過去に万年筆のブル-ブラックインキの経年変化について調べたことがありましたが、保管状態でインキの経年変化が著しく変わることだけが分かりました。しかし、目的としていた「何年前に記載したものか」については結果が得られませんでした。以上の事が、ご参考になれば幸いです。

2月18

 印鑑に代わるものとして署名が重要視されています。 特に公証人役場で作成されている公正証書による遺言書では署名が必須条件であることは周知のとおりですが、その署名に一工夫が大切ではないでしょうか。                                                                              欧米などの署名文化の地域では自分だけが知り得る隠しポイントを密かに表す書き方をしているようです。それがどこかということは本人だけが知り得ていることなのです。                                          漢字文化の我が国でも署名には気を遣って一工夫することが好ましいのではないでしょうか。                                                          ちなみに鑑定人自身も署名は毛筆系を使用しているので、そのような気遣いは常日頃から訓練しております。印鑑は物理的に製作されるものですから、酷似する類似品をつくり出すことは不可能ではないでしょう。ですからせめて署名だけでも意識して自筆であることが識別できる書き方を訓練することが大切です。                                                                               最近の筆跡鑑定の多くは署名が本人か否かであることからも、署名の重要性を再認識してほしいものです。                                                             すなわち、鑑定の場においても署名筆跡の鑑定にあたっては筆者の心理的な部分までを察知する洞察力と鑑定センスが重要なポイントとして挙げられるものと思われますがいかがでしょうか。                                               

2月12

高齢となった男性が作成した遺言書の筆跡とその者が35年前に書いた筆跡との鑑定が行われた鑑定書の信憑性についての検証依頼がありました。その筆跡中には希な筆順と誤字が使われているので熟練鑑定人であれば結果を間違うほどの難しい類には当たらない。しかしながら、実施した鑑定人の判断は類似性と相違性の二面性を有しているものの筆者は異なる結果とした。希な筆順や誤字については鑑定経過の中で一切触れることなく、形態や形状構成が異なるので別人であって、類似性の部分は第三者による単なる偶然の一致に過ぎないと判断しているのである。そして外観検査の部分においても対照の資料が35年前に書かれた筆跡であることについての説明もされていない鑑定人の資質が問われてもやむを得ない。依頼側に荷担した鑑定結果はいかがなものか。その鑑定書を作成した鑑定人の経歴書を拝見して、二度ビックリ・・・

1月26

トイレの中の壁やドア-。その他では机、路上、塀、柱類の場所などに書かれた誹謗中傷の筆跡が持ち込まれるケ-スがありますが、それらの多くはカメラで撮影されたものとなります。それらを撮影する場合は、書かれている文字に対して正対するように撮影しなければカメラレンズの特性によって歪みが生じることが多いので注意してください。

12月30

 鑑定に際して、まず始めに行う「鑑定資料の外観所見」でありますが、鑑定資料や対照資料がそれぞれどのようなものであるを把握しなければならない。まず始めに、それらが鑑定資料や対照資料として適切であるか否か、さらに、質的に量的にも十分整っているかについても行う検査である。これらの検査は、後日証明できるように詳細に記録するのであります。

1,名称・・・一般名として「遺言書・契約書・・」等々

2,形式・・・「契約書」などのように、不動文字が印されているかどうか。

3,数量・・・「契約書1通」などのように。

4,表示番号・・・「甲第○○号」、「符第○○号」のような付票をいう。

5,大きさ・・・用紙などの大きさをいう(規格のあるものではA4判など)

6,形状・・・記載枠の有無や形、状態など。

7,質的な判別・・・厚手・薄手、紙面の状態など。

8,汚損状態・・・しわ、破れなどが無いか。

9,資料の種類・・・資料が原本かコピ-か。

10,文書の形式・・・縦書きか横書きかの区別。

11,鑑定対象の部位・・・署名欄の筆跡か。又は、鑑定対象となる筆跡が書かれている部位など。

12,文書作成年月日・・・契約書、遺言書作成年月日など。

13,推定される筆記用具について・・・ポ-ルペンか、あるいは毛筆系かどうかについて。

11月21

『2010年11月20日(土曜日)讀賣新聞の記事から』

捜査の鉄則は「証拠は真実を語る」。。。。幽霊でない限り、足は付きもの・・犯人の気づかない痕跡を追った勝利と推理します。 捜査官に拍手☆☆☆☆☆

11月3

  写真の筆跡は、一方が本人の筆跡。もう一方は偽筆と判明しております。

 筆跡鑑定などの結果のレベルを「不明である」や「可能性が強い」とか「相当程度に高い」・「考えられる」・「推定される」・「認められる」のように分けて示しております。
しかし、このような表現の違いは、鑑定・検査に使用された検体の量や質、そして過去の多くのデ-タを参考にして得られたものである。

したがって検体が、量的や質的に整っていること。そして更に、基礎的な資料(デ-タ)が十分であって経験的なデ-タに基づいて公共性を有する判断が行えるような場合の鑑定結果では「認められる」を用いても妥当と考えられるのである。 しかしながら、これらのすべてが満たされていないような場合では、鑑定・検査結果に「相当程度に高い」とか「推定される」などが用いられることが多い。               

最近の筆跡鑑定の多くが遺言書や覚書などのコピ-資料が主流となっている。このような現状から一層鑑定人の技術が試されるわけであります。そこで重要なことは鑑定人の資質が問われることとなる。

 筆跡鑑定などに拘わる鑑定人は、我が国では国家的な資格を必要としない。従って、僅かな知識を奇貨として「成りすまし的鑑定人」が存在していることも、風の便りとして聞いております。筆跡鑑定や印影などの鑑定や検査を依頼する際には鑑定人の経歴や情報を出来る限り集めるなどの調査を行うことが重要である。これらのことを良く考えたうえで、依頼者自身の責任において鑑定人を選任することとなりますから、くれぐれも「成りすまし的な鑑定人」には十分ご注意ください。

9月22

  通常、筆跡・印影及び文書類(印刷物「有価証券類・一般文書」や設計図面などをいう)の検査や鑑定結果では様々の表現が見受けられる。 そこで、法科学の場で検討されてきたいくつかの表現について考察してみると次のようなことが言える。

 鑑定結果では、鑑定人が学識経験に基づいて検査経過から得られた結果を総合的に検討し、さらに鑑定人の考察を加えたものである。

一部の鑑定人によって数値的に得られたものを示すことが行われている点に対しては正しい表示形式とは考え難い。 しかしながら、形態検査あるいは官能検査などの場合においても尺度構成法を用いてその結果を数量化することもできる。その場合におけるそれらの検体がいずれも量的及び質的に整っているという条件下で、且つ、十分な基礎デ-タと経験的デ-タに基づき、そのうえ公共性の判断が行えるような場合には、鑑定結果で「認められる」という結果表現を用いることができる。その反面、それらが十分に満たされないような場合の鑑定結果には「推定する」を用いることが適切とみられる。